相続時精算課税とは?
相続時精算課税とは、生前に一定額までの贈与が非課税となり、相続時にその贈与財産を加算して相続税として精算する制度です。
この制度は、親から子や孫への財産移転をスムーズに行うための手段として注目されています。
この記事では、相続時精算課税の仕組みやメリット・デメリットについて解説します。
相続時精算課税の仕組み
相続時精算課税制度では、贈与者1人につき累計2,500万円まで贈与税が非課税となります。
ただし、この枠を超える部分については、一律20%の贈与税が課されます。
また、非課税枠内で贈与を受けた財産は、相続時にその価額が相続財産に加算され、相続税の対象となります。
対象となる贈与者と受贈者
この制度を利用できるのは、以下の条件を満たす場合です。
・贈与者:60歳以上の親や祖父母などの直系尊属
・受贈者:18歳以上の子や孫
相続時精算課税のメリット
相続時精算課税の主なメリットは、2,500万円までの非課税枠が活用できる点です。
ただし、非課税枠内で贈与を受けた財産は、相続時に相続財産に加算され、相続税が計算されます。
贈与額が累計2,500万円を超えた場合、一律20%の贈与税が課されます。
贈与税の最大税率は55%であるため、多額の贈与を行う場合、相続時精算課税制度を利用した方が有利な場合があります。
なお2024年1月1日以降、受贈者ごとに年間110万円の基礎控除が創設されたため、より利用しやすい制度となりました。
相続時精算課税のデメリット
反対に、相続時精算課税の主なデメリットとして以下が考えられます。
適用の変更ができない
相続時精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与には、暦年課税方式(年間110万円以下の贈与であれば非課税となる制度)に戻すことができません。
相続税の負担が増加する可能性
贈与された財産は、相続時に相続財産として加算されるため、資産価値が下がった場合や財産の総額によっては相続税の負担が増える可能性があります。
まとめ
相続時精算課税は、相続税と贈与税を組み合わせた特別な制度であり、生前に財産を移転するための有効な手段です。
しかし、制度を利用する際には、相続税の負担や適用後の変更ができない点に注意が必要です。
制度の詳細や具体的な手続きについて不安があれば、税理士に相談することを検討してみてください。